研究所について

理事長挨拶:梅本哲世

2021年6月13日に開催された理事会において、公益社団法人部落問題研究所の理事長に選出されました。私の専門は日本資本主義発達史および部落問題の歴史的研究(近現代)で、部落問題研究所とのつながりは、2008年に評議員になったのが最初で、2010年から理事を務めています。

部落問題研究所は、1948年に京都市に設立され、1952年に部落問題に関する学術研究機関として文部大臣より社団法人の認可を受け、さらに2014年に内閣総理大臣の認定により公益社団法人に移行しました。

本研究所は、部落問題を中心に各種の調査・研究活動を展開し、その成果を公表してきました。1966年に「部落問題研究における業績」に対し朝日新聞社より「朝日賞」を、1971年に「水平運動史の総合的研究」に対し毎日新聞社より「毎日学術奨励金」を受けました。さらに、1989年に『部落史史料選集』(全3巻)を、1998年に『戦後部落問題論集』(全6巻)を刊行し、2016年に『部落問題解決過程の研究』(全5巻)を完結・刊行しました。

2022年3月3日は全国水平社創立からちょうど100年となります。全国水平社は、封建的身分差別の残滓としての部落差別の解消をめざす自主的運動団体として組織されました。以後100年を経て、生活環境や労働、教育での周辺地域との格差の解消が進み、結婚や居住を含む自由な社会的交流の進展が地域社会でみられるなど、差別的言動を受け入れない市民道徳の形成が進んできて、社会問題としての部落問題は、最終的解決を見通せる段階に到達しました。このことは前述の『部落問題解決過程の研究』で理論的・実証的に詳しく解明されています。

現在、新自由主義の政策のもと、貧困や格差、ジェンダー問題、LGBTQや在日外国人の人権保障問題など、様々な「差別」や「分断」が深刻となっています。戦後の重大な社会問題の一つであった部落問題が解決の段階に至ったことは、先進的な経験であり、その教訓を国民的に共有したいと思います。その意味で、部落問題研究所が果たす役割は、いぜんとして大きなものがあります。財政難や後継者不足など、多くの課題を抱えていますが、理事長として研究所の発展のために尽力したいと思っています。

今後とも皆様の本研究所に対するご理解、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

(略歴)
1948年、奈良県生まれ
京都大学経済学部卒業、大阪市立大学大学院経営学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(経済学、京都大学)
岩手県立宮古短期大学、桃山学院大学を経て、現在、桃山学院大学名誉教授


役員名簿

1.理事

非常勤氏名フリガナ常勤・非常勤生年月日任期理事
梅本 哲世ウメモト テツヨ非常勤1948年8月27日2021年6月13日~2023年6月13日理事長
梅田 修ウメダ オサム常勤1948年2月5日2021年6月13日~2023年6月13日常務理事
石倉 康次イシクラ ヤスジ非常勤1952年3月26日2021年6月13日~2023年6月13日
石田 暁イシダ アキラ非常勤1954年5月20日2021年6月13日~2023年6月13日
奥山 峰夫オクヤマ ミネオ非常勤1944年1月22日2021年6月13日~2023年6月13日
川辺 勉カワベ ツトム非常勤1959年10月27日2021年6月13日~2023年6月13日
竹永 三男タケナガ ミツオ非常勤1951年2月23日2021年6月13日~2023年6月13日
広川 禎秀ヒロカワ タダヒデ非常勤1941年5月5日2021年6月13日~2023年6月13日
西尾 泰広ニシオ ヤスヒロ常勤1971年7月26日2021年6月13日~2023年6月13日

2.監事

非常勤氏名フリガナ常勤・非常勤生年月日任期
小村 和義コムラ カズヨシ非常勤1954年5月30日2021年6月13日~2023年6月13日
丹波 史紀タンバ フミノリ非常勤1973年12月11日2021年6月13日~2023年6月13日
藤本清二郎フジモト セイジロウ非常勤1949年1月1日2021年6月13日~2023年6月13日
矢頭 正明ヤズ マサアキ非常勤1947年1月5日2021年6月13日~2023年6月13日

定款

第一章 総則
(名称)
第一条 この法人は、公益社団法人部落問題研究所と言う。
(事務所)
第二条 この法人は、主たる事務所を京都府京都市左京区高野西開町三四番地一一に置く。

第二章 目的、倫理及び事業
(目的)
第三条 この法人は、封建的身分の残滓であるいわゆる部落問題を初めとする人権問題の学術的な調査研究及びその成果を普及する事業を行い、もって日本の民主的発展に寄与することを目的とする。
(倫理)
第四条 この法人は、法令を遵守し、社会的規範に基づき、事業を公正かつ適正に運営し、前条に掲げる公益目的の達成と社会的信用の維持・向上に努めるものとする。
(事業)
第五条 この法人は、第三条の目的を達成するために、次の事業を行う。
(一)部落問題・人権問題に関する各種の調査研究
(二)関係資料の蒐集、保存、整備及び情報提供並びに閲覧利用サービス
(三)関係図書の編集、刊行
(四)研究会、講演会等の開催及び講師の斡旋
(五)目的を同じゅうする各種機関・団体との連絡、協力
(六)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
二 前項の事業については、国際的視野をもち、全国各地において行うものとする。

第三章 会員
(法人の構成員)
第六条 この法人は、次の会員をもって構成する。
(一) 普通会員 この法人の目的に賛同して入会の申し込みをし、所定の会費を納入する個人又は団体
(二) 賛助会員 この法人の目的、事業に協力して維持会費を拠出する個人又は団体
(三) 特別会員 この法人に対し、功労のあった者、又は学識ある者のうち、理事長の推薦により、総会において承認された者
二 前項の会員のうち、普通会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員とする。
(会員の資格取得)
第七条 この法人の会員(特別会員を除く)になろうとする者は、所定の会費を添えて理事会が別に定める入会申込書により申し込みをし、その承認を得るものとする。
二 前項の規定により入会の承認をした時は、理事長は、会員名簿に所要事項を記載すると共に、申込者にその旨を通知する。入会を承認しなかった時は、理事長は、直ちに申込者にその旨を通知する。
三 理事長の推薦を受け、総会で特別会員として承認された者がある時は、理事長は、会員名簿に所要事項を記載すると共に、その者にこの法人の特別会員に推戴する旨を通知する。
(経費の負担)
第八条 会員(特別会員を除く)は、この法人の事業活動に経常的に生ずる費用に充てるため、会員となった時及び毎年定時総会において別に定める会費又は維持会費を支払う義務を負う。
二 会費及び維持会費は、年額を一時に前納するものとする。但し、特段の事情がある場合においては後納とすることが出来、年額を二回に分割して納めることが出来る。
三 既納の会費及び維持会費については、これを返還しない。
(会員の権利)
第九条 すべての会員は、この法人が刊行する各種の出版物を無料又は実費で配付を受け、この法人保管の図書・資料を閲覧・利用し、この法人主催の各種の集会に出席するほか、この定款及び理事会で定める各種の権利を有する。
(任意退会)
第一〇条 会員は、別に定める退会届を理事長に提出することにより、任意にいつでも退会することが出来る。
(除名)
第一一条 会員が次のいずれかに該当するに至った時は、総会の決議によって当該会員を除名することが出来る。
(一) この定款その他の規程に違反した時
(二) この法人の名誉を傷つけ、又は目的に反する行為をした時
(三) その他除名すべき正当な事由がある時
二 前項において、除名される場合、当該会員に対し、総会で議決される前に総会の場において弁明の機会を与えるものとする。
(会員資格の喪失)
第一二条 前二条の場合のほか、会員は、次のいずれかに該当するに至った時は、その資格を喪失する。
(一) 第八条の支払い義務を五年間にわたって履行しなかった時
(二) 総普通会員の同意があった時
(三) 当該会員が死亡した時又は解散した時
(四) 当該会員について破産手続開始の決定がなされた時

第四章 総会
(構成)
第一三条 総会は、普通会員をもって構成する。
二 前項の総会をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員総会とする。
(権限)
第一四条 総会は、次の事項について決議する。
(一) 会員の除名
(二) 理事及び監事の選任又は解任
(三) 理事及び監事の報酬等の額
(四) 貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)の承認
(五) 定款の変更
(六) 解散及び残余財産の処分
(七) 不可欠特定財産を含む基本財産の処分
(八) その他総会で決議するものとして法令又はこの定款で定められた事項
(開催)
第一五条 総会は、定時総会として毎年度一回開催する。
二 前項の定時総会のほか、必要がある場合に臨時総会を開催する。
(招集)
第一六条 定時総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、理事会の決議に基づき、毎事業年度終了後二箇月以内に理事長がこれを招集する。
第一七条 臨時総会は、総普通会員の議決権の五分の一以上の議決権を有する普通会員から、理事長に対し、会議の目的たる事項及び招集の理由を示した請求があった時、又は理事会で議決した時は、理事長がこれを招集する。
第一八条 総会の招集は、その開催から二週間前までに会議の目的たる事項、日時及び場所を記載した文書をもって、普通会員に通知するものとする。
(議長)
第一九条 総会の議長は、会議のつど、普通会員の出席者のなかから互選で選出し、これに当たる。
(議決権)
第二〇条 総会における議決権は、普通会員一人につき一個とする。
(決議)
第二一条 総会は、普通会員の総数の過半数の出席をもって開催し、出席した普通会員の議決権の過半数をもって行う。但し、会議に出席できない普通会員は書面をもって表決するか、又は他の普通会員の出席者に委任状を託して議決権を行使することが出来る。この場合あらかじめ通知のあった事項についてはこれを出席者とみなす。
二 前項の規定にかかわらず、次の決議は、普通会員の総数の半数以上であって、総普通会員の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
 (一)会員の除名
 (二)監事の解任
 (三)定款の変更
(四)解散
(五)基本財産の処分
(六)その他法令で定められた事項
三 理事又は監事を選任する議案を決議するに際しては、各候補者ごとに第一項の決議を行わなければならない。理事又は監事の候補者の合計が第二三条に定める定数を上回る場合においては、過半数の賛成を得た候補者のなかから得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任することとする。
(議事録)
第二二条 総会の議事については、法令の定めるところにより、議事録を作成し、議長及び出席した理事が記名押印し、これを保存するものとする。

第五章 役員
(役員の設置)
第二三条 この法人には次の役員を置く。
(一)理事 六名以上一〇名以内
(二)監事 四名以内
二 理事のうち、一名を理事長とし、一名を常務理事とする。
三 前項の理事長をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の代表理事とし、常務理事をもって同法第九一条第一項第二号の業務執行理事とする。
(役員の選任及び要件)
第二四条 理事及び監事は、総会の決議によって選任する。
二 各理事について、その理事及び配偶者又は三親等以内の親族等である理事の合計人数が、理事総数の三分の一を超えてはならず、又、他の同一の団体の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係のある理事の合計数が、理事合計数の三分の一を超えてはならない。監事についても、同様とする。
三 理事長及び常務理事は、理事会の決議によって理事のなかから選定する。
(理事の職務及び権限)
第二五条 理事は、理事会を構成し、法令及びこの定款の定めるところにより、理事会の決議に基づいて、職務を執行する。
二 理事長は、法令及びこの定款の定めるところにより、この法人を代表し、その業務を執行し、常務理事は理事長を補佐し、理事会の決議に基づいてこの法人の業務を分担し執行する。
第二六条 理事長は三箇月に一回以上、理事会を招集し、理事長及び常務理事は、職務執 行の状況を理事会に報告しなければならない。但し、理事長が必要と認めた場合又は理 事から会議の目的事項を示して請求のあったときは、理事会を招集しなければならない。
(監事の職務及び権限)
第二七条 監事は、理事の職務の執行を監査し、法令の定めるところにより、監査報告を作成し、総会において報告する。
二 監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業報告を求め、この法人の業務及び財産の状況を調査することが出来る。
(役員の任期)
第二八条 この法人の理事及び監事の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までとする。但し再任を妨げない。
二 補欠として選任された理事又は監事の任期は前任者の任期の満了する時までとする。
三 理事又は監事は、第二三条に定める定数に足りなくなる時は、任期満了又は辞任により退任した後も、新たに選任された者が就任するまでは、なお理事又は監事としての権利義務を有する。
(役員の解任)
第二九条 理事及び監事は、総会の決議によって解任することが出来る。
(役員の報酬等)
第三〇条 理事及び監事は、無報酬とする。但し、理事に対しては総会の決議によって定 める総額の範囲内において、総会において別に定める支給の基準に従って算定した額を 報酬等として支給することが出来る。

第六章 理事会
(構成)
第三一条 この法人に理事会を置く。
二 理事会は、すべての理事をもって構成する。監事は理事会に出席し、必要があると認める時は意見を述べなければならない。但し、決議する権利を持たない。
(権限)
第三二条 理事会は、次の職務を行う。
(一) この法人の業務執行の決定
(二) 理事の職務の執行の監督
(三) 理事長及び常務理事の選定及び解職
(四) その他この定款で定めた事項
(招集)
第三三条 理事会は理事長が招集する。
二 理事長が欠けた時又は理事長に事故ある時は、各理事が理事会を招集する。
(決議)
第三四条 理事会の決議は、決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
二 前項の規定にかかわらず、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九六条の要件を満たした時は、理事会の決議があったものと見なす。
(議事録)
第三五条 理事会の議事については、法令の定めるところにより、議事録を作成する。
二 理事会に出席した理事及び監事は、前項の議事録に記名押印する。

第七章 資産及び会計
(資産の種類)
第三六条 この法人の資産は次の通りである。
(一) この法人の財産目録記載の財産
(二) 会費及び維持会費
(三) 資産から生ずる果実
(四) 事業に伴う収入
(五) 寄付金及び補助金
(六) その他の収入
(基本財産)
第三七条 別表の財産は公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五条第一六号に定める公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産であり、この法人の基本財産とする。
 二 前項の財産は、この法人の目的を達成するために善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
第三八条 この法人の基本財産のうち、現金は理事会の決議によって、確実な有価証券を購入するか、又は確実な信託銀行に信託するか、若しくは銀行の定期預金として理事長が保管する。
第三九条 この法人の事業遂行上やむを得ない事由がある時は、理事会の決議及び総会の承認を経て、基本財産の一部に限り処分することが出来る。
(業務遂行の費用)
第四〇条 この法人の業務遂行に要する費用は、資産から生ずる果実及び事業に伴う収入その他の普通財産をもって支弁する。
(事業年度)
第四一条 この法人の事業年度は、毎年四月一日に始まり翌年三月三一日に終わる。
(事業計画及び収支予算)
第四二条 この法人の事業計画書及び収支予算書、資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類については、毎事業年度の開始の日の前日までに、理事長が作成し、理事会の決議を経て総会の承認を受けなければならない。これを変更する場合も、同様とする。
二 前項の書類は総会で承認を得たのち、遅滞なく、内閣府に提出しなければならない。
三 第一項の書類については、主たる事務所に、当該年度が終了するまでの間備え置き、一般の閲覧に供するものとする。
(事業報告及び決算)
第四三条 この法人の事業報告及び決算については、毎事業年度終了後、理事長が次の書類を作成し、監事の監査を受けた上で、理事会で承認を得なければならない。
(一) 事業報告
(二) 事業報告の附属明細書
(三) 貸借対照表
(四) 損益計算書(正味財産増減計算書)
(五) 貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)の附属明細書
(六) 財産目録
二 前項の承認を受けた書類のうち、第一号、第三号、第四号及び第六号の書類については、定時総会に提出し、第一号の書類についてはその内容を報告し、その他の書類については承認を得なければならない。
三 第一項の書類のほか、次の書類を主たる事務所に五年間備え置き、一般の閲覧に供すると共に、定款及び会員名簿を主たる事務所に備え置き、一般の閲覧に供するものとする。
(一) 監査報告
(二) 理事及び監事の名簿
(三) 理事の報酬等の基準を記載した書類
(四) 運営組織及び事業活動状況の概要及びこれらに関する数値のうち重要なものを 記載した書類
(公益目的取得財産残額の算定)
第四四条 理事長は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第四八条の規定に基づき、毎事業年度、当該事業年度末日における公益目的取得残額を算定し、前条第三項第四号の書類を記載するものとする。

第八章 定款の変更及び解散
(定款の変更)
第四五条 この定款は、総会の決議によって変更することが出来る。
 二 定款の変更があった時は、その旨を、遅滞なく、内閣府に届け出なければならない。
(解散)
第四六条 この法人は総会の決議、その他法令で定められた事由により解散する。
(公益認定の取消し等に伴う贈与)
第四七条 この法人が公益認定取消しの処分を受けた場合又は合併によって消滅した場合には、その権利及び義務を承認する法人が公益法人である時を除き、総会の決議を経て、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を、当該公益認定取消しの日又は当該合併の日から一箇月以内に、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五条第一七号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
(残余財産の帰属)
第四八条 この法人が清算する場合において有する残余財産は、総会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五条第一七号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。

第九章 公告の方法
(公告の方法)
第四九条 この法人の公告は、電子公告とする。
二 事故その他やむを得ない事由によって前項の電子公告が不可能な場合には、官報に掲載する方法を採る。

第一〇章 事務局
(事務局の設置)
第五〇条 この法人に事務局を置き、正規雇用の使用人の任免は理事会における選任・解任の決定に基づき、理事長が行う。
二 事務局の組織、運営及び内部管理等に必要な事項は、理事会の議を経て、理事長が別に定める。
第一一章 附則
第五一条 この定款は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第一〇六条第一項に定める公益法人設立の登記の日から施行する。
二 この法人の最初の理事長は成澤榮壽とする。
三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第一〇六条第一項に定める特例民法法人の解散の登記と公益法人の設立の登記を行ったときは、第四一条の規定にかかわらず、解散の登記の日の前日を事業年度の末日とし、設立の登記の日を事業年度の開始日とする。
第五二条 この定款に定めるもののほか、この法人の運営に関する必要な事項は、理事会の決議を経て、別に定める。

別表 基本財産(第三七条関係)

財産種別 物量・場所・取得年等
三好文庫1031点 第1図書資料室特別収蔵
昭和26年 取得(寄付)、昭和61年 目録作成
水平文庫1202点 第1図書資料室特別収蔵
昭和46年 取得(寄付)、平成5年 目録作成
北原文庫3032点 北原文庫室収蔵
昭和57年 取得(寄付)、平成21年 カード作成
その他人権問題・部落問題関係図書 部落問題研究所図書資料室収蔵

(付記)
1.2017年5月14日の公益社団法人部落問題研究所2017年度定時総会において、「定款」の二三条に第四項を追加した。
2.2018年3月21日の公益社団法人部落問題研究所2017年度臨時総会において、「定款」の第二三条第四項を削除した。また、「別表 基本財産(第三七条関係)」を改めた。

この法人の現行定款に相違ありません。
公益社団法人部落問題研究所
理事長梅 本 哲 世


事業・財務状況

2018年度

  • 2018年度事業計画
  • 2018年度予算書
  • 2018年度事業報告
  • 2018年度貸借対照表
  • 2018年度正味財産増減計算書
  • 2018年度財産目録

2017年度

  • 2017年度事業計画
  • 2017年度予算書
  • 2017年度事業報告
  • 2017年度貸借対照表
  • 2017年度正味財産増減計算書
  • 2017年度財産目録

2016年度

  • 2016年度事業計画
  • 2016年度予算書
  • 2016年度事業報告
  • 2016年度貸借対照表
  • 2016年度正味財産増減計算書
  • 2016年度財産目録

2015年度

  • 2015年度事業計画
  • 2015年度予算書
  • 2015年度事業報告
  • 2015年度貸借対照表
  • 2015年度正味財産増減計算書
  • 2015年度財産目録

あゆみ・実績

部落研究所のあゆみ

1948.京都市に設立
1952.部落問題に関する学術研究機関として文部大臣より社団法人の認可
1964.部落問題研究所の総会に基づき、全国からの支援を得て文化厚生会館を建設
1966.「部落問題研究における業績」に対し朝日新聞社より「朝日賞」を受ける
1966.部落解放同盟の排他主義の暴力派(朝田派)に研究所が管理・運営していた文化厚生会館を不当に占拠され、以後16年間にわたり、図書資料、財産の一切を会館内に凍結されたまま仮事務所での仮住まいで活動を続ける。この事件を機に、科学的な研究機関として大衆的基盤に立った研究をめざすことをより明確化
1971.部落問題研究所の呼びかけで、全国の部落問題研究組織21団体が参加して、全国部落問題研究協議会を結成
1971.水平社創立50周年記念事業「水平運動史の総合的研究」に対し、毎日新聞社より「毎日学術奨励金」を受ける
1974.同和教育における授業と教材研究協議会を結成。のちにどの子も伸びる研究会に発展し、研究所から分離
1979.創立30周年を記念し、『部落問題研究所三十年史』を刊行
1982.全国からの支援を得て、新所屋建設。部落問題研究のセンターとして拠点を定める
1984.日本学術会議の登録学術研究団体となる
1988.創立40周年を迎え、記念事業として『部落史史料選集』(全3巻)を刊行(~89)
1998.創立50周年を記念し、『戦後部落問題論集』(全6巻)及び『部落問題研究所五十年の歩み』を刊行
2001.研究所の新たな発展をめざして」の方針を決定
2005.部落問題の解決過程に関する研究」に着手
2008.創立60周年記念事業として「部落問題の解決過程に関する研究」推進を決定
2010.部落問題解決過程の研究』第1巻(全5巻中)刊行
2011.部落問題解決過程の研究』第2巻(全5巻中)刊行
2013.部落問題解決過程の研究』第3巻(全5巻中)刊行
2014.4月1日、内閣総理大臣の認定により公益社団法人へ移行
2015.部落問題解決過程の研究』第4巻(全5巻中)刊行
2016.部落問題解決過程の研究』全5巻 完結・刊行

実績

部落問題研究所は創立以来、各種の調査・研究活動を展開し、その成果を発表してきました。 以下はその主な業績です。

1950.京都府の委嘱により京都市伏見区竹田深草部落を調査。『未解放部落の実態』として刊行
1952.京都府・市の委嘱により府下の未解放部落を調査。『京都府未解放地区の生活実態』として刊行
1953.奈良県南葛城郡大正村(現御所市)小林部落の歴史、社会構造、民俗、教育状態を調査。『未解放部落の社会構造』として刊行
1955.広島県能美町東浜部落の漁業と社会組織を調査。大津市坂本部落の歴史と労働と生活実態を調査。併せて『未解放部落の歴史と社会』として日本評論社から刊行
1956.文部省研究成果刊行助成金により『部落史に関する綜合的研究』全4巻刊行。三重県上野市八幡町の産業・労働・生活実態を調査。『部落産業の史的分析』として刊行
1957.高知県南国市野中部落の経済構造を中心に調査。『農村部落の構造分析』として刊行
1958.三重県松阪市の委嘱により市内3部落の歴史と生活実態を調査。『都市部落―その歴史と現状』として刊行。京都市教委の委嘱により中学生の進路を5カ年にわたり追跡調査。『中学卒業生の進路構造』として刊行
1959.松阪市の委嘱により市内農村地域17部落の産業経済、生活実態を調査。『農村部落―その地域と社会』として刊行。日本労働協会の委嘱により奈良市梅園部落における労働と生活実態を調査。『未解放部落における失業人口の存在形態』として日本労働協会より刊行
1960.京都府教委委嘱、由良川沿岸の部落を調査
1962.京都府の委嘱により府下10部落の産業・経済、教育について総合調査。『未解放部 落の実態』として刊行
1966.「部落問題研究における業績」に対して朝日新聞社より「朝日賞」を受賞
1967.広島県府中市の委嘱により市内全部落の実態を調査。『部落の実態―広島県府中市』として刊行
1971.文部省科学研究費補助金による研究成果として『水平運動史の研究』全6巻刊行(毎日新聞社より「毎日学術奨励金」を受ける)
1974.京都市伏見区竹田深草部落の実態調査。『京都市竹田深草地区実施調査報告書』として刊行
1978.文部省科学研究費補助金による研究成果として『戦後部落問題の研究』全7巻刊行
1979.全国の大学における同和教育実施状況調査
1982.地域の部落史に関する研究成果『部落の歴史』全3巻(近畿篇・西日本篇・東日本篇)を刊行
1985.『京都の部落問題』全5巻刊行
1988.大津市委嘱調査研究「大津市同和事業史」に着手
1989.研究所創立40周年記念事業『部落史史料選集』全3巻完結
1991.和歌山県南部町の委嘱で『同和行政のあり方と展望にかかわる調査研究』報告書を作成
1992.滋賀県日野町委嘱、『日野町同和事業史』刊行
1997.研究所50周年記念事業『戦後部落問題論集』全6巻刊行
2001.科学研究費補助金による「部落問題・水平運動・融和運動史料に関する実証的研究」(4年間)に着手
2009.科学研究費補助金による「身分・身分的周縁と部落問題に関する地域史的研究」(4年間)、「戦後社会運動史の実証的研究―北原泰作文書の分析を通して」(3年間)に着手
2010.科学研究費補助金による「人権教育の構成概念と構造に関する基礎的研究」(3年間)に着手
2012.科学研究費助成事業による「近代日本における地域社会の変貌と民衆運動に関する総合的研究」(5年間)に着手
2010~2016.部落問題研究所創立60周年事業「部落問題解決過程の研究」全五巻刊行

総会

  • 2022年度臨時総会開催

     2022年度部落問題研究所臨時総会が、2023年4月16日(日)に開催された。 第1号議案「2023年度事業報告」は梅田修理事が提案した。第2号議案「2023年度資金調達及び設備投資の見込みについて」及び第3号議案「2023年度収支予算」は梅本哲世理事長が提案した。その後審議し、議案ごとに可決しました。

    2023年度研究活動の基本方針

    公益社団法人部落問題研究所(以下、研究所)は、「定款」第3条の規定するところに従い、日本社会の民主主義的発展に寄与することを目的として、解決段階にある部落問題をはじめ、日本社会の人権と民主主義、人間発達に関する諸問題を調査・研究し、成果を社会に普及する事業を行なう必要がある。そのため、内外情勢と人権及び民主主義に関する諸動向を念頭におき、部落問題解決過程の到達段階と研究の到達点をふまえつつ、研究活動の基本方針を定める必要がある。

     一 内外情勢と人権及び民主主義に関する諸動向

    日本国憲法は、アジア太平洋戦争の惨禍を経て、「戦争は最大の人権侵害である」という反省に基づいて、徹底した恒久平和主義を基本原理としている。ところが、岸田内閣は、ウクライナ戦争や米中対立が強まるなかで、2022年12月に「安保3文書」を閣議決定し、歴代の自民党内閣がとってきた「専守防衛」を基本とする安保政策から、「敵基地攻撃能力」を保有し、集団的自衛権行使による米軍との共同作戦を実施する安保政策へ大転換した。軍事費の大幅増額、明文改憲政策が進められ、排外的ナショナリズムが煽られ、日本は「戦争か平和か」の岐路に立たされている。
    岸田政権は、菅政権による日本学術会議会員の任命拒否を撤回せず、日本学術会議の独立性・自律性を否定し、政府の政策審議機関に変質させようとする法改正を狙っている。また、政府が進める国際卓越研究大学などの「産官学連携」政策は、大学を大きく変質させるものであり、学問の自由と大学・学術機関の公共性を守るたたかいが求められている。
    日本経済の長期的停滞が続き、新自由主義政策による格差・貧困の拡大に加え、コロナ禍、物価高騰、実質賃金の低下などによって国民生活が悪化し、低所得層や社会的弱者にますます矛盾がしわ寄せされている。コロナ・パンデミック以降、日本社会の人権と民主主義をめぐる諸問題がますます可視化され、ジェンダー平等を求める運動など、さまざまな市民や団体の運動が起こり、広がっている。その一方で、政治革新をめざす流れと市民的立ち上がりを分断、分裂させる動きもまたはげしくなっている。
    以上のような内外情勢と人権及び民主主義をめぐる動向を念頭に置いて、研究所の研究課題と社会的役割を明確にしなければならない。

     二 部落問題の解決過程と現状・課題について

    日本社会の民主的発展にとって重要な歴史的課題である部落問題は、基本的に解決段階に到達している。日本社会においては、現在、地域的格差などの実態的差別はほとんど解消し、広範な地域住民の努力により、部落差別は許されないとする基本的な社会的合意が成立していると考えられる。しかし、社会問題としての部落問題が基本的に解決段階に到達したことが、日本社会で十分認識される状況になっているわけではない。
    そのなかで、部落問題の最終的解決への前進を阻害する動きが強まっている。「部落差別の解消の推進に関する法律」(「部落差別解消推進法」)制定後、自治体の「人権意識調査」、「部落差別解消」条例の策定、法務省の依命通知「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立件及び処理について」など、公権力による解決に逆行する動きが強まっている。また、マスコミが、解決過程の到達点や広範な市民の努力に目を向けず、「差別が根強く存在する」という報道をくり返していることも問題である。
    そのような状況のなかで、和歌山県立図書館の部落問題関係図書の閲覧制限問題が明らかになり、多数の幅ひろい研究者や本研究所などの要望で、同図書館の制限措置が解除された。こうした活動は、公権力による部落問題を利用した言論・表現の自由、学問の自由を規制する動きが強まるなかで重要であり、今後も関係諸団体のなかで研究所に求められる独自の役割を十分果たす必要がある。
    以上のような状況のもとで、部落問題の解決段階に至った歴史的経験を人権と民主主義にかかわる国民的努力の成果として総括し、これを日本社会の市民社会としての成熟のために生かすことが課題である。その際、解決過程の到達点を無視した事態や研究動向にも十分留意し、人権と民主主義にかかわる内外の諸問題も念頭において、研究・普及活動を発展させることが重要である。

     三 部落問題研究所の当面する課題

    研究所は、「部落差別解消推進法」後の解決過程の到達点を無視した事態や動向に留意しつつ、今日的に要請されている社会的責任を果たすために、研究所の財政危機克服の課題と関連させつつ、研究課題と事業計画を具体化し、諸活動を進める必要がある。
    第一に、研究所は、これまで部落問題をはじめとする人権、地域、これを包含する社会の諸問題について、理論的実証的研究を行ない、成果の普及に努めてきた。日本社会の民主主義的発展に寄与するため、いっそう学際的研究を重視しつつ、引き続きそれらの諸課題の研究と成果の普及に取り組む必要がある。
    第二に、部落問題の解決過程の到達点に立って、その歴史的経験を国民的に共有するため、研究の到達点をふまえつつ研究を深化・発展させ、普及活動をいっそう工夫する必要がある。そのためにも、民族問題、女性問題などと異なる部落問題固有の性格とその解決のあり方をいっそう理論的、具体的に明らかにする必要があり、そのためにも学際的交流を発展させる必要がある。 
    第三に、それらの活動と並行して、国民的文化遺産ともいえる研究所所蔵の図書・資料の保存・活用のため、蔵書目録を作成・公開するなど一層の整備を図る。また、ZOOM利用のオンライン研究会開催などの体制を強化するため、その条件整備に取り組む必要がある。

  • 2022年度定時総会開催

  • 2021年度臨時総会開催

  • 2021年度定時総会開催

  • 2020年度臨時総会開催

  • 2020年度定時総会開催

  • 2019年度末臨時総会を開催