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 八鹿高校事件(1974年)は、政治・社会、教育のあり方が鋭く問われた重大事件であるにもかかわらず、事件を「部落史」の枠組みや解放運動をめぐる路線対立の中でしか語っていないものが多い。「事件の全体像」に迫る歴史研究が必要である。
 八鹿高校事件は、「民主主義の教育力」に鍛えられてきた生徒集団に、教師集団と地域住民を励まし、彼ら大人が地域を牛耳っていた政治勢力に「声」をあげるための後ろ盾、力となる役割を与え、結果として地域民主主義のかつてない広がりを導くテコとなった。
 その生徒集団を直接的に下支えしたのが、生徒自治会OB・OGを中心とする「OB会」であったことも特筆される。

第一部 歴史研究のテーマとしての八鹿高校事件
  一 歴史研究・歴史叙述の現状
  二 第三者機関の認定した事実関係
  三 事件の全体像をとらえるために

第二部 「地域民主主義」の底流と八鹿高校事件
     ー教師集団・生徒集団を中心にー
  一 八鹿高校事件の全体像と本書の課題 
   A 事件の全体像の追究
   B 警察・刑事裁判の描く事件の構図
   C 本書の課題
  二 八鹿高校と但馬地域
   A 兵庫県立八鹿高等学校の歴史
   B 教師集団と生徒集団の形成史
  三 八鹿高校事件とその後の教師集団・生徒集団
   A 教師集団と地域を励ました生徒自治会とOB会
    1.生徒自治会のたたかい
    2.自治会OB・OGの結集
    3.生徒集団のその後
   B 教師集団と地域のたたかい

大森 実 著者
A5判 136頁 1,100円(税込み)+送料(1冊ならスマートレター210円)