「民主的な世界、日本の主体形成を考える『公共の授業』をつくる」
2019年9月8日 於:部落問題研究所
9月8日(日)、2019年度第2回目の教育研究会を開催した。報告は、杉浦真理(京都立命館宇治中学校高校)「民主的な世界、日本の主体形成を考える『公共の授業』をつくる」である。
杉浦さんは、まず教育基本法改定と新学習指導要領の特徴にふれた後、高校での新教科 「公共」の問題点にふれた。第1は、「現代社会」では日本国憲法が主軸に置かれていたが「公共」ではそうなっていない。これでは、憲法学習は中学校までとなりかねない。第2は、道徳的要素が導入されようとしている。また、道徳教育推進教師もおかれる(ただし、その仕事はまだ不明)。第3は、狭い意味でのキャリア教育にむけての自分の適性探しの授業がおこなわれる可能性がある。
これらの問題点を克服し、「公共」の内容を組み替えていく必要があるが、現在作業中の教科書作成の状況からいってあまり教科書に期待することが出来ない以上、副読本を作って普及する他ないかもしれない。それで、現在協同して副読本(200頁程度、2020年3月発刊予定)を作成中とのことであった。
議論では、コンピテンシー概念について、歴史修正主義・植民地主義の克服の課題、個人―市民社会―国家の区別、「公」の責任・在り方などが問題になった。
(梅田修)