募金への協力・会員の拡大を引き続き業務改善を進める
—2020年度定時総会開催

5月24日に予定していた2020年度定時総会を約一カ月遅れましたが6月21日に開催しました。「毎事業年度終了後二カ月以内」という定款に外れますが、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が出ている「やむを得ない事由」として行政庁に公認された延期でした。

総会は議案であった、2019年度の事業報告、諸会計報告及び監査報告をそれぞれ承認しました。なお総会後に例年開催している全体研究会は、このウイルス感染状況を配慮し中止しました。期日延期とともに、これもはじめての事でした。
 3月臨時総会で事業計画を確認し、この総会で活動を総括して、私たちは本格的に新年度の活動を開始しました。この一年をふり返っていくつかの感想を記します。
 ①新しい試みとして「第一回学習講座」を開催しました。今年一月から二月にかけて「『身分』って何だろう?近世日本の『身分』研究の成果に学ぶ」をテーマにした3回の連続講座です。期待したほどの参加者がなかったとはいえ今日の研究成果を市民にひろげ研究所の発展につながる連続講座として始まった意義のある企画であったと思います。研究所講座として引き継がれ定着する事が期待されます。
 ②この学習講座は五委員会の連携した活動によって実施されました。2019年度から、編集・研究・財政・事業・資料の五委員会体制になりました。学習講座は事業委員会、研究委員会を中心に各委員会の協力により実施されました。今後も組織的改善などを図りながら、所内の合議体制として重要な役割をはたしていく事になります。
 ③財政について、減価償却費の経常外費用への移動などもあって単純に比較できないにしても、経常収支はおよそ200万円余の赤字を計上しています。財政危機から脱出したとは言えない現状です。ただ寄付金収入は2018年度が178万円減であったのに対して254万円増の561万円となって注目されます。研究所に期待する熱い支援の力を感じます。
 問題点はこの二年間、賃借料と月刊誌印刷製本費がやや増加していることに端的に示されています。3年前に賃借料はその前年の38%減、印刷製本費はその前年の32%減でした。言うまでもなく徹底した賃借料の見直し、PDF化等の自前の努力の結果でした。2015年度以降、私たちが懸命に取り組んできた「コスト・見直し削減」策が限界にきている事を示しています。募金への協力と会員・読者の拡大という原点に戻り、それに対応する業務の改善をさらに進めなければなりません。
 ④「新型コロナ」は新自由主義政策の破綻を隠しようもなく明らかにして、一挙に人権侵害の現実を表面化しています。平和的に生存する権利を保障する社会のへの変革が求められています。
 「新型コロナ」は、また一方で「テレワーク・オンラインの時代」という社会的変化を促進しています。総会の監査報告は「第一回学習講座」を評価するとともに、「研究所の目的遂行および市民社会の需要の再検討、情報媒体変化への対応等が本格的に追求され業務が革新される必要がある」、と指摘していました。HP改良をはじめ、業務の改善をはかりながら、寄せられている私たちへの期待、社会的責任に応える努力をし続けたいと思います。

尾川昌法