「道徳科の授業を『よりマシ』にするには―『特別の教科 道徳』の民主的再構成」
2019年12月22日 於:部落問題研究所
2019年12月22日(日)、2019年度第3回目の教育研究会を開催した。報告は、神代健彦(京都教育大学)「道徳科の授業を『よりマシ』にするには―『特別の教科 道徳』の民主的再構成」で、報告の構成は、(1)危険であるが必要/必要であるが危険、(2)道徳性発達について、(3)教える/学び育つ、である。
神代さんは、道徳教育に関する両極の対応(1.道徳を一方的に注入する、2.道徳を教えない)は避けるべきだとした後、第1に、自分の道徳を選択することが人間の歴史であると述べ、道徳教育をイデオロギー教育として批判してきた経過を問題にしながら、道徳を一つの文化財に位置づけるべきこと、第2に、道徳教科書はどこまで子どもの発達をふまえているのかを疑問として、ピアジェやコールバーグの道徳教育論を紹介しながら、道徳性の発達をふまえた教材の選択が必要であること、第3に、実際の授業の実施にあたっては、「多様な価値の追求」「討論する道徳、考える道徳」といった学習指導要領の指摘を「使いこなす」必要性などを指摘した。最後に、「民主主義の徳」を育てる課題として、「互いの関心を共有する」「みんなにとってのよいことを考える心のあり様」を指摘した。
討論では、コールバーグの道徳教育論の評価、道徳を教育する場合に全面主義の立場に立つか特設主義の立場に立つか、民主主義の徳の内容づくりなどについて意見交換した。
(梅田 修)