5月12日(日)10時30分より部落問題研究所2019年度定時総会を研究所3階で開催した。
 開会に先だちこの1年間の会員物故者に黙祷をささげた後、会員総数359名中出席者21名、委任状247名の出席で総会の成立を確認した。
 尾川理事長の挨拶のあと、議長に小村和義氏を選出、書記に事務局の出渕登喜子氏を任命した。
 原田敬一佛教大学教授が日本史研究会を代表して祝辞を述べ、全国人権連など研究・民主団体12団体からのメッセージが紹介された。

 第1号議案 2018年度事業報告(梅田修理事)、第2号議案 2018年度貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録(梅本哲世理事)の報告を行ない、監査報告を藤本清二郎監事が行なった。
 これらを受けて若干の質疑応答の後、全員一致で承認された。
 第3号議案 任期満了にともなう理事・監事の選任の件について尾川理事長が提案、全員一致で承認された。
 理事=石倉康次、石田暁、梅田修、梅本哲世、尾川昌法、奥山峰夫、竹永三男、西尾泰広、広川禎秀(いずれも再任)。監事=小村和義、藤本清二郎、矢頭正明(いずれも再任)、丹波史紀(新任)。
 なお、長年にわたり監事を勤めてこられた村上博光氏は、退任された。
 新監事の丹波史紀氏(立命館大学)が新任のあいさつを行なった。
 一時休けいの後、第一回理事会を開き、尾川理事長、梅田常務理事を選出した。
 以上をもって定時総会を終了した。

総会当日午後の研究会  
―戦後京都の部落の 変化と同和対策  報告 奥山峰夫(部落問題研究所理事) 

 午後1時30分より、定例の研究会を開いた。奥山峰夫理事が、「戦後京都の部落の変化と同和対策」のテーマで報告、司会は西尾泰広理事が担当した。

 報告は、1.はじめに、全国水平社第10回大会「運動方針書に関する件(草案)」を引いて「部落差別」を侮辱はもとより、排除、隔離、忌避、不公平取扱いなど、「部落」を理由とする「住民」に実害(実体的害悪)をもたらす事実行為とし、この積み重ねと密接に関わって「部落住民の生活援助面における低位劣悪性=部落問題」と規定した。
 そのうえで 2.全国的動向を紹介。3.京都の部落の実態の変化と行政上の対応をやや詳しく述べた。
 戦後早い時期の実態を示すものとして、『部落問題』1950年10月(第18号)
に掲載された「ルポルタージュ ある部落の24時間―京都市T地区から―」を紹介。低位・劣悪な生活実態、さらに『京都府同和地区の生活実態』(京都府民生部、1953年)の中から、住環境の劣悪さを提示した。
 こうした状況が、1953年から住宅建設が進められ、大きく改善をみせることになる。 1969年、京都市同和対策長期計画(第一次草案)が策定され、「同和地区住民の社会的、経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消する」ために「同和地区住民の市職員への採用を促進する」ことが基本方針とされ、急激に市職員が増加した。
 その結果、4.成果と問題点として就業構造のかたよりが生じたこと、運動体を通した「選考採用」が実施されたことを契機の一つとして、市職員の不詳事の続発などの問題点の発生をあけた。
 さらに、格差是正の進行にともなう地域住民運動の衰退も指摘した。
 報告を受け、若干の質疑と、長野、大阪、奈良、京都の出席者から地元の実情の紹介と問題状況についての報告があった。