「部落問題解決の『4つの指標』を原理的に考える」
報告者 丹波正史氏 (全国人権連)
1987年、全解連は「綱領的文書」として「21世紀をめざす部落解放の基本方向」を規定し、その中で、部落問題が解決された状態として「4つの指標」を示した。すなわち、1,周辺地域と部落の格差是正、2,差別言動があっても、それが周囲に影響を及ぼさない=つまり差別言動がゼロになるということではない、3,部落住民内部にみられる同族意識など「歴史的後進性」の克服、④部落と周辺地域との交流の進展、融合の実現、である。
これについての接近を考えるにあたり報告者は、いくつかの用語をとりあげ、諸説を紹介した。すなわち、1,差別――杉之原寿一説、部落解放・人権研究講座『新修・部落問題事典』、アルベール・メンミ『差別の構造』、国際人権条約の定義、等。2,差別意識、3,社会意識、4,差別意識の克服、が基本テーマとなる、とした。
意見交換では、差別意識の対抗概念は何か。平等意識か。近代社会では相克関係で、固定的に考えない方がよい。実質的平等を求める運動は、その先の展望がない、等々の意見が出された。
〈奥山 峰夫〉