2019年2月2日 於:部落問題研究所

 2019年2月2日(日)に2018年度第5回教育研究会を開催した。
 報告は、渡辺雅之(大東文化大学)
 「道徳教育のベクトルを変える―国家の道徳から私たちの道徳へ」。

 渡辺さんは、第二次安倍政権発足(2012年12月)を契機に教化された道徳教育政策にふれた後、文部省型「道徳科」の特徴として、3点(①徳目主義―設定した徳目に誘導すること、②心理主義―あらゆる問題を個人の心の問題に還元すること、③偏狭なナショナリズム―自文化中心主義であり、排外主義とセット)を指摘し、対抗する道徳教育として、実践的には、①既存教材を読み替える、②既存教材から発展させる、③自主教材を編成することの三つの方法があることを提案した。
 そして道徳教育教材としては、具体的に①生活現実に即したリアルなものであること、②討論に値する素材であること、③現代的な課題で、社会への扉が開かれていることなどの観点から吟味していくことの重要性を指摘した。
討論では、政治や社会のもつ道徳性、社会科教育との連携の必要性、教師が教材を吟味していく場合、与えられた教材に「ひっかかる(疑問をもつ)か」がカギであることなどが指摘された。

(梅田修)