新しい科研費研究がスタート

「行き倒れに関する国際的比較地域史研究―       
     移動する弱者の社会的救済・行政的対応の分析」

 本年度新しく科学研究費助成事業(科研費)による研究が始まります(基盤研究(B))。研究代表者・藤本清二郎、研究分担者・竹永三男、連携研究者10名のほかアメリカ在住の研究者2名が研究協力者として参加する。
 いわゆる「行き倒れ」など移動する社会的弱者に対する地域社会の救済対応策や救貧行政について歴史的差異、特質の究明をめざしています。英米における教会が弱者救済に地域社会で大きな役割をはたしていることに注目し国際的比較を行うこともこの研究の特色となっています。海外在住の研究者と協同する研究事業として成果が期待されます。研究期間は2015年度から3年間。期間全体の補助金額は直接経費で1230万円、間接経費で369万円の予定です。
 本年度の研究実施計画は概ね次のとおりです。
   1.前近代・近現代の行き倒れの時代を通した研究―「行き倒れ」の実態、地域社会の救済慣行と法制および行政的対応について、近世から現代までの段階的変化を究明。
 ①城下町和歌山の行き倒れと非人・乞食身分の実態・取り扱いについて
 ②『道頓堀非人関係文書』を利用し、近世大坂の「行き倒れ」と非人について
 ③徳島藩領を中心に、四国遍路の「行き倒れ」の実態と地域社会及び藩の対応
 ④近代福島県、東京府、奈良県を対象に幕藩体制下の「行き倒れ」対応法制・行政と近代のそれとの比較分析。
   2.行き倒れをめぐる学際的研究―「行き倒れ」に至る貧民一般のほか、ハンセン病者、「精神病者」等の属性をもつ者、および「行き倒れ」には至らない社会的弱者について研究。
 ①ハンセン病者・「精神病者」の実態と救護法制・地域社会の対応システムの検討
 ②近代大阪府南王子村を対象に未解放部落の相互扶助機能の分析
 ③間引き・堕胎等の研究
 ④沖縄県出身者の本土への移動者の地域分布・人数、構成等の時代別概要把握。
 ⑤ 近代都市社会事業行政の多様な展開を見た大阪について「行き倒れ」救護行政との関連を追究。
 ⑥産業革命期における大都市と農村の貧困研究。戦間期と比較しつつ。
 ⑦戦前・戦後における「行き倒れ」(行旅死亡人)について社会福祉法制・行政に注目し、系統的に分析。
   3.日本・近代イギリス・近現代アメリカの比較史的研究、および、海外資料調査、海外在住の研究協力者との共同研究。海外での資料調査の準備、海外在住研究者の招聘。


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