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第53回部落問題研究者全国集会

開 催 要 項
2015年10月31日(土)〜11月1日(日)
於:同志社女子大学今出川キャンパス/(京都市上京区)
地下鉄烏丸線(国際会館行き) 「今出川」 下車徒歩5分

事前申し込みフォームは下にあります

参加費  2000円 (学生・院生は1000円) ※一日のみの参加も同じ金額です。


第一日 全体集会  10月31日(土)午後一時30分〜5時 
報告 戦争体験をいかに継承するか
       ― 「戦後七〇年」の地平に立って
吉田 裕(一橋大学)
コメント 人見 佐知子(岐阜大学)  
平井 美津子(大阪府吹田市立第一中学校)
 全体会報告〈予告〉
  戦争体験の持つ意味を考える
 いま、日本人の歴史認識は大きな岐路に立たされている。第一には、戦争体験世代が全人口のほぼ一割を切ったからである。この世代は、様々な問題をはらみながらも、保革の枠組みを超えて、独特の平和意識を形成してきた。それが、日本國憲法の存在とならんで、日本の軍事大国化に対する大きな歯止めとなってきたことは否定できない。その世代の退場は、一面では靖国神社を支えてきたような勢力にとって、大きな打撃となる面もあるが(靖国神社の年間収入は減少の一途である)、何よりも、平和意識そのものの直接の基盤が大きく揺らぐことを意味している。第二には、日本人の歴史認識、特に侵略戦争と植民地支配の歴史に対する認識に陰りが見え始めてきたことである。かつての戦争を侵略戦争とみなす歴史認識は。1980〜90年代に定着したものと思われていたが、最近の世論調査では「やむを得ない戦争」という認識や、「侵略と自衛の両側面がある」といったような曖昧な認識が拡大しつつある。植民地支配の問題に関しても、これ以上の「謝罪」や「お詫び」は不必要だという意識が確実に見て取れる。安倍首相の「戦後70年」談話が、戦後の日韓関係の問題、特にポスト・コロニアニズムの問題に無視を決め込んでいることも、国民意識の現状と無関係ではあり得ないであろう。そして、第三には、今回の安全保障関連法案にみられるように、戦後の日本社会がまがりなりにも維持してきた「専守防衛」体制が、崩されようとしていることである。自衛隊員が殺し殺される関係性の中になげこまれ、自衛隊が加害者になる事態が現実のものとなろうとしているのである。
 もちろん、若者の法案反対運動に見られるように新しい動きが出てきていることも注意を払う必要があるが、戦争体験を基盤にした平和意識や歴史認識だけでは、現状に対応できないのではないだろうか。そんなことを念頭に置きながら、この報告では、まだまだ漠然としているが、次のようなことを考えてみたい。
 一つ目は、戦争体験の継承が必ずしもうまくいっていないのはなぜか、という問題である。それは、自分自身の問題に引きつけて言えば、なぜ、私は(1954年生まれ)父母の戦争体験に背を向けながら生きてきたのか、という問題でもある。この問題では、特に、60年代末から70年代初めの学生運動の高揚期がポイントとなるだろう。二つ目は、戦後の戦争体験論の評価である。ここでは、赤澤史郎氏の一連の論考などを手がかりにしながら、戦争体験論の問題点とともに、そこに秘められた可能性についても考えてみることにした。結論のない報告になる可能性もあるが、とりあえず、拙稿「せめぎあう歴史認識」(成田龍一・吉田裕編『記憶と認識の中のアジア・太平洋戦争』(岩波書店、2015年)を参照していただければ幸いである。 (よしだゆたか/一橋大学教授)


第二日 分科会  11月1日(日)午前10時〜午後4時30分

@ 歴史T
  〈テーマ 近世身分研究の新展開〉
京都の非人
     ― 「坂」から「悲田院村」へ―
吉田 ゆり子
  (東京外国語大学)
一八世紀末における皮革流通構造の変容と皮商人
     ― 津山藩を事例に―
高垣 亜矢
  (日本学術振興会特別研究員)

 近年、身分的周縁論の深まりと地域における歴史具体的検討の中から、非人身分やかわた身分についても新しい歴史像が提出されている。中世の「坂の者」=「非人」がたどった変化と、新たに組織化された「悲田院村」の非人の実態を検証する吉田報告、津山藩の皮商人と買い入れに訪れるかわた身分の取引形態を検討し、皮革流通構造の変容を解明する高垣報告、両報告を通して、身分集団の形成や変容等について議論を深めたい。


A歴史U
  〈テーマ 戦時・戦後の地域における政治構造と社会運動〉
高度成長期における教育と地域社会運動
      ―京都府丹後地域の教員組合運動を中心に
富山 仁貴
  (関西学院大学大学院生)
翼賛選挙期大都市近郊における地域政治構造の変容
      ― 東京府八王子市を事例に
中村  元
  (新潟大学)

 本分科会では、これまで取り組んできた近現代日本の地域の歴史的分析を継続・発展させる。富山報告は、教育運動が盛んであった丹後地域を対象とし、今日につながる学校教育が形作られた高度成長期における農村社会の動向や機業労働者の争議等に注目して、教育と地域社会運動の関係を検討する。
 中村報告は、翼賛選挙期の大都市近郊都市における地域政治構造の変容を東京府八王子市に即して考察し、それを通して戦時期の都市史研究と近年の総力戦体制をめぐる議論に論点を提起する。


B現状分析・理論
  〈テーマ 同和行政終結と地域の人権課題を考える〉
兵庫県丹有地域における同和行政終結の取組み 村上  保
  (兵庫人権連三田支部)
地域における介護福祉の取組み
中島 純男
  (NPOみんなの会)
原爆被害者相談員の会のあゆみと被爆者の人権 三村 正弘
  (原爆被害者相談員の会)
 同和特別対策の根拠法が失効(二〇〇二年三月)して一〇年余り経過しているが、なお事実上特別対策を継続実施している地域がみられる。その終結は地方自治行政にとって重要な課題の一つである。今回は、兵庫県丹有(篠山、三田、丹波市)地域をとりあげる。
 また地域の人権課題に関わって、岡山市で活動するNPOみんなの会の介護福祉の取組み、さらに広島における被爆者の人権問題について、それぞれの報告をうけ、意見交換を行なう。      

C教 育
  〈テーマ 道徳の「特別教科」化の検討〉
道徳の教科化と対抗戦略 碓井 敏正
  (京都橘大学名誉教授)
道徳の「特別教科」化
   ― その問題点と教育実践者の立ち位置
折出 健二
  (人間環境大学)
 中央教育審議会「答申」(二〇一四年一〇月)は、現行の「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」に位置づけるという提言を行った。二〇一八年度から小学校、二〇一九年度から中学校に「道徳科」が新設される。検定教科書が用意され、「評価」も行われる。こうした事態は、道徳教育の「国定化」につながり、戦前の「修身科」を彷彿とさせる。改めて、道徳の「特別教科」化について検討したい。

D思想・文化
  〈テーマ 戦争の実相を再認識する〉
ニューギニア戦線を描いた話題作から 秦  重雄
  (大阪府立桜塚高校)
映画人と沖縄
島田  耕
  (映画監督)
 戦闘ではなく、戦争とはいったい何なのか。今年は、過去と現在、そして未来まで見通して思考された年である。全体会のテーマをより深める内容としたい。
 前進座の今夏の公演で話題となった、加東大介『南の島に雪が降る』、戦争を体験していない若い作家が全くの想像で戦場のリアルを活写して驚嘆された、高橋弘希『指の骨』の二作品を取り上げる。
 次に、今も映画製作を手掛けている、『カメジロー 沖縄の青春』(一九九八年)の映画監督から、最近作の『戦場ぬ止む』(三上智恵監督)、『沖縄うりずんの雨』(ユンカーマン監督)などにいたるまでの、沖縄と日本の現実について、自身の経験をふまえて肉薄する。


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主催: 第53回部落問題研究者全国集会事務局
 
 公益社団法人部落問題研究所内






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